ミカドチョウチョウウオは、チョウチョウウオ科に分類される海水魚であり、体側に整然と並ぶ「く」の字型の暗色帯と、三角形に近い独特の鋭いシルエットが織りなす機能美が非常に美しいサンゴ礁の象徴的な魚種です。自然界ではミドリイシ類などのサンゴのポリプを専食する典型的なポリプ食性魚であり、その極めて強い偏食傾向から、アクアリウムの世界では餌付けが困難な最難関種の一種として、熟練した飼育者の間でも一目置かれる存在となっています。飼育環境下でこの繊細な魚を長期にわたって維持するためには、ストレスを排した静穏な水槽レイアウトと極めて高い水質の安定が絶対条件となり、生きたサンゴを用いた段階的な餌付けや、個体の食欲を刺激する緻密なアプローチを継続することが、その気高くも美しい姿を健やかに保つための唯一の道となります。
