トリクティス幼生は、チョウチョウウオ科やクロホシマンジュウダイ科の魚類が浮遊生活を送る時期に見せる特異な形態であり、頭部から背部にかけて発達した巨大な骨板を備えていることが最大の特徴です。この骨板は捕食者からの攻撃を防ぐ鎧のような役割を果たすだけでなく、外洋の表層で生活するための浮力や安定性を確保するための高度な生存戦略であると考えられています。成長して沿岸のサンゴ礁や岩礁域へ定着する直前に、これらの骨板は吸収または脱落して成魚に近い姿へと劇的な変態を遂げますが、その過程で見せる一時的な姿は海洋の進化が生んだ造形美の一つとして、分類学や生態学の視点からも非常に重要な意味を持っています。
