海洋熱帯化とは、地球温暖化に伴う海水温の上昇によって、本来は熱帯や亜熱帯の海域に生息していた魚類や造礁サンゴなどが高緯度の温帯域へと分布を拡大し、既存の生態系を大きく変容させてしまう現象です。この変化は単に南方の生物が観察できるようになるという事象に留まらず、温帯の海を支えてきた大型海藻による藻場の消失を加速させ、それらを生活基盤としていた在来種を駆逐してしまうなど、水産資源の構造を根底から揺るがす深刻な問題を孕んでいます。変化する海の状態を正確に把握し、熱帯性の食害生物への対策や新たな水産ターゲットへの転換を検討していくことは、気候変動が進行する現代において豊かな海の恵みを将来にわたって享受し続けるための不可欠な適応策となります。
