トビハゼは、河口域の干潟や泥湿地に生息するハゼ科の魚類で、魚でありながらその生涯の多くを陸上で過ごす極めて特異な生態を持っています。発達した胸鰭を腕のように使って泥の上を這い、時には力強く跳ねる姿からその名がつきました。皮膚呼吸と口内に溜めた水から酸素を取り込む能力を併せ持ち、乾燥に注意すれば数時間は水槽の外で活動し続けることが可能です。飼育下では、塩分を含んだ汽水環境と、体が完全に出るための広めの陸地を設けたアクアテラリウムが必要不可欠です。性格は非常に愛嬌があり、目が頭頂部に位置して周囲をよく見渡せるため、飼い主の動きに反応して餌を待つようなペットフィッシュとしての魅力も備えています。一方で縄張り意識は強く、同種間で威嚇し合うこともあるため、飼育密度や隠れ家の配置には配慮が必要です。干潟の生態系の豊かさを象徴する生き物であり、そのダイナミックな行動は観察者を飽きさせることがありません。
